PEEK(ピーク)樹脂は、1978年にイギリスのICI社(現Victrex(ビクトレックス)社)により開発・製品化された、熱可塑性樹脂のスーパー・エンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)に属する樹脂です。スーパーエンプラは、汎用プラスチックと比較して、耐熱性(150℃以上)や機械的な耐久性などに優れた樹脂で、金属部品の代替材料として、自動車や医療機器、航空宇宙分野などでも使用されています。PEEK樹脂は、このスーパーエンプラの中でも、高い耐熱性(約260℃)や耐薬品性、耐久性といった優れた特徴があります。分子構造は、概ね直鎖状で、たくさん(Poly)のエーテル(Ether)・エーテル(Ether)・ケトン(Ketone)が連結して構成されています。

PEEK樹脂は、最高峰の性能を持つポリマーとも言われており、理由として、様々な面において非常に優れた性能を持っているからです。主に下記の性能が優れていると言われています。

耐熱性

連続使用温度は約260℃と非常に高く、高圧蒸気滅菌も可能です。ただし、ガラス移転温度は約140℃なので注意する必要があります。

難燃性

およそ600℃まで燃焼に耐えられ、極めて優れた難燃性を持ちます。たとえ非常に高温で燃焼しても、燃焼を促進することなく、煙と有毒ガスの発生はほぼありません。

耐摩耗性

摩擦係数が小さく、優れた耐摩耗性を持っています。摩擦係数は、滑りにくさを表す数値で、数値が大きければ滑りにくく、小さければ滑りやすいことを表します。PEEK樹脂は摩擦係数が小さいので、滑りやすく、摩耗しにくいので、耐摩耗性に優れています。

耐薬品性

強酸など一部の薬品を除き、酸やアルカリ、有機溶剤などに対して優れた耐性を持ちます。

非常に高い機械強度

PEEK樹脂の引っ張り強度は95MPa前後で、ヤング率は3,000MPa以上、金属に匹敵する機械強度を持ちます。

その他にも、高純度や生体適合性に優れているなど、優秀な性能がたくさんあり、また、金属からの代替によるコスト削減や軽量化といった目的でも使用されることもあります。なお、価格面では、一般的なプラスチックと比べると50倍以上の価格差になる場合があるため、用途に合わせて選択する必要があります。

上記の優れた性能を持っているため、一般産業や医療関係、航空宇宙、半導体、食品飲料製造、3Dプリンティング、等々、非常に幅広い業界にて多彩なアプリケーションで活用されています。例えば、手術用器具や人工骨、自動車や航空機の一部の金属部品の代替、スイッチやセンサーの先端部品の素材など、様々な分野で活用されています。また、PEEK樹脂には、耐熱性や耐摩耗性がより強化されたタイプや食品安全性の規格を満たしたタイプなどいくつかの種類あり、用途に合わせて選択することで、より効果的に使用することができます。

スイスBaumer社は、このPEEK樹脂の優れた性能を活かして、耐久性などを強化したスイッチ・センサー製品を開発しています。例えば、レベルスイッチや温度センサーでは、食品や薬品、高温のメディア等に接触する先端の検出部にPEEK樹脂を使用したり、超音波センサーでは、蒸気や薬品からの保護や耐久性を高めるために検出面にPEEK樹脂フィルムを使用したりしています。

PEEK樹脂を使用した製品の詳細については、下記のリンクよりご確認いただけます。もし不明な点などがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

次世代レベルスイッチ

強化型超音波センサー UR18強化型シリーズ

強化型超音波センサー U500強化型シリーズ

温度センサー